産業用ロボット向けオフラインティーチングシステム開発
- ロボティクス

- 課題
- ・従来のティーチング作業では、実機を使ってロボットの動作を1つ1つプログラムしており多くの時間が費やされ、さらに作業中は生産ラインを止める必要があるので生産効率が大きく低下する問題が発生していた
・直感的な操作ができないなど、従来のオフラインティーチングに限界を感じていた
- 効果
- ・実機と同じティーチングペンダントで操作できるように設計し、作業時間の短縮に成功
・パソコン上で実際のロボットと同じ動作を再現し、リアルタイムでの衝突検出や、動作の確認ができるようになった
■お客様からの要求・課題
産業用ロボットのティーチング作業は、実際のロボットを操作して行うティーチングプレイバック方式(教示再生方式)が一般的でした。
この方式では、ティーチングペンダントと呼ばれるリモコンのようなコントローラーを使用して、ロボットの各関節の位置や姿勢、アームの先端の座標などを記録します。記録した動作をロボットに再生させることで、一貫した品質と効率的な生産を実現できます。
また、ティーチングプレイバック方式は、次のような特徴があります。
・直感的かつリアルタイムに動作を指示できる
・プログラムを事前に作成する必要がない
・障害物を避けるなどの複雑な経路設定が可能
但し、作業開始位置や終了位置、動作軸の設定などに非常に時間が掛かり、多くの作業箇所を持つワークのティーチングには1週間以上も掛かる場合がありました。また、ティーチング中はロボットでの生産が停止するため、生産効率が大幅に低下する問題もありました。
オフラインティーチングは、PC上のシミュレータソフトで仮想空間を利用しティーチング作業を行うものですが、ロボットオペレーターにとって操作が直感的でなく、従来の実機を使用したティーチングペンダントのような使い勝手がないという問題点がありました。また、すべての動作や命令を仮想空間上で確認できないため、実機での修正が必要な箇所が存在し、結局オフラインティーチングだけでは作業効率が大きく改善されないという課題もありました。
■ソリューション
これらのお客様の課題を解決するために、新しい独自のオフラインティーチングシステムの開発に弊社も参画しました。このシステムは実機と同じティーチングペンダントを使って操作でき、シミュレータソフトの仮想環境上ですべての命令を実行・確認ができるようになりました。これにより、実機での修正作業が大幅に減り、ティーチングにかかる時間も短縮されました。
この独自のオフラインティーチングシステムでは、PCとロボットコントローラを組み合わせることで、仮想環境で実際のロボットと同じ動作を再現し、リアルタイムでの衝突検出や、動作の確認ができるようになりました。また、PC上でティーチング作業を行うことで、実機の生産を止めずに新規プログラムの開発が可能となり、全体的な生産性が向上しました。
このように、従来のティーチング作業の効率の悪さを解消し、オペレーターにとって直感的で効率的な作業環境を提供することで、製造現場の生産性向上に貢献しています。